5月の中ごろ、東京の街を歩いていると、ラーメン屋さんや街中華の入り口に、突然あの貼り紙が現れる「冷やし中華はじめました」。この貼り紙が日本人にとっては、本格的な夏の合図です。気温がぐっと上がり、半袖の人が増え、コンビニの棚から鍋焼きうどんが消える—そんな季節の変わり目に、街がそっと衣替えをするように、お店もそれぞれのタイミングで「夏メニュー」をはじめます。
海外からの旅行者の方には少し意外かもしれませんが、冷やし中華は数あるラーメンの中でも、夏の定番メニューです。今日は冷やし中華の楽しみ方をご紹介します。
「冷やし中華」とは

冷やし中華は、ゆでて冷水で締めた中華麺の上に、錦糸卵、ハム、きゅうり、トマト、紅しょうがなどを彩りよく並べ、酸味のきいた醤油ダレや胡麻ダレをかけて食べる、夏の定番メニューです。見た目はサラダのようでも、れっきとした麺料理。ひんやり冷えた麺と、シャキッとした野菜、そして甘酸っぱいタレが絡んで、汗をかいた体にすっと染み込みます。
旅行者が冷やし中華を食べるなら

もし日本で本格的な一杯を試してみたいなら、街中華(中華料理店)や老舗のラーメン店を覗いてみてください。入り口に「冷やし中華はじめました」と書かれていれば、それがチャンス。価格は1,000円から1,500円ほどが目安です。
「もっと気軽に試したい」という方には、コンビニ版もおすすめ。セブン-イレブン、ファミマ、ローソンのチルド棚に、430円から600円ほどで並んでいます。ホテルで一息つきたい昼下がりや、新幹線車内のランチにもぴったり。
ちなみに、毎年7月7日は「冷やし中華の日」とされています。二十四節気の「小暑」にあたることが多く、夏本番の入口にあたる時期であることから選ばれたといわれています。その日に食べる一杯は、ちょっと特別な味がするかもしれません。
お店ごとの違いを楽しむ
冷やし中華のタレには大きく分けて「醤油ダレ」と「胡麻ダレ」の二種類があります。醤油ダレはお酢のきいたさっぱり系、胡麻ダレはコクのあるまろやか系。どちらも本当においしいので、滞在中にぜひ両方試してみてください。
お店によっては、ローストポーク、蒸し鶏、エビ、海苔、わかめ、そして辛子(からし)が添えられていることも。辛子は端のほうに少しだけ置かれているので、お好みで麺と一緒にどうぞ。最後の一口まで飽きさせない、日本ならではの仕掛けです。
まとめ—たった一枚の貼り紙が告げる、日本の夏
日本には、季節を知らせてくれる小さなサインがあちこちにあります。春の桜、秋の金木犀、そして夏は——「冷やし中華はじめました」の貼り紙。もし5月から9月のあいだに日本を旅するなら、ぜひ街角で、その貼り紙を探してみてください。それを見つけたら、迷わずお店に入って、ひんやりとした一皿を頼んでみる。あなたの旅は、その瞬間にすこしだけ「日本の夏」になります。