初夏の夜にだけ現れる、ホタルのはかない光。「蛍狩り(ほたるがり)」は、古くから日本の初夏の風物詩として親しまれてきました。本来は清流のある郊外まで出かけないと見られないイメージですが、実は東京23区の真ん中で、毎年ゲンジボタルが舞う庭園があります。それが、文京区にある「ホテル椿山荘東京」です。
椿山荘では、1954年から「ほたるの夕べ」として、お食事とともにホタルを観賞できる催しを続けてきました。広大な庭園の「ほたる沢」や水車のまわりで、ピーク時には1日500〜600匹ものゲンジボタルが光りながら飛び交うと推測されており、都心とは思えない幻想的な夜を楽しめます。
この記事では、椿山荘のホタルの見どころ、2026年の開催期間と見頃、ホタルを見る方法と料金、アクセス、観賞のマナーまでを、公式情報をもとにまとめました。
※開催日・料金・庭園への入場方法は変更される場合があります。お出かけ前に必ず公式サイトで最新情報をご確認ください。(本記事は2026年6月時点の公式発表をもとにしています)
1. 椿山荘のホタルとは—都心の庭園で約1万匹を育てる

「ホテル椿山荘東京」は、東京・文京区関口にありながら、森のように木々が茂る広大な庭園を持つホテルです。その庭園で観賞できるのが、日本でなじみ深いゲンジボタル。創業者・小川栄一が「東京の子どもたちにもホタルを見せたい」という想いから、1954年に「ほたるの夕べ」を始めたのが、その歴史の始まりです。
2000年以降は専門家の指導のもと、ホタルが産卵から飛翔まで暮らせる環境づくりに取り組んできました。庭園と自社施設で育てた約1万匹の幼虫を毎年庭園の沢に放流しており、自然界ではおよそ1%とされるホタルの羽化率を、人工飼育下ではおよそ30%まで高めていると推測されています。その結果、ピーク時には1日あたり約500〜600匹ものゲンジボタルが舞うとされ、ほたる沢や水車のまわりが主な観賞スポットになります。
さらに椿山荘では、庭園を霧で包む演出「東京雲海(とうきょううんかい)」とホタルの共演も見どころのひとつ。淡く明滅するホタルの光と、足元に広がる霧が織りなす光景は、都心にいることを忘れさせてくれます。
2. 2026年の開催期間と見頃—いつ行けばいい?
ホタルの光を観賞できるのは、限られた時期の、限られた時間帯だけです。椿山荘では、例年5月中旬から7月上旬ごろの日没後に、庭園やビオトープでホタルを観賞できます。目安として、5月中旬〜6月中旬ごろは庭園で羽化したゲンジボタルを、6月下旬〜7月上旬ごろは温度や湿度を整えたビオトープ(生きものの生息空間)で楽しめるとされています。
観賞のピークとなる時間帯は、日没後に周囲がすっかり暗くなる19時〜21時ごろ。天然のホタルは雨が降ると葉の裏に隠れてしまいますが、椿山荘のビオトープなら雨の日でも比較的活発に舞う姿を観察しやすいのが特長です。
2026年の「ほたるの夕べ」は、5月中旬から6月30日(火)までの特定日に開催されます(後述のディナービュッフェは5月17日〜6月30日)。
開催日は日によって異なるため、訪れたい日が決まったら、公式サイトの最新の開催カレンダーを確認してから予約するのがおすすめです。ちょうど今が見頃の時期にあたるので、6月の旅行で都心のホタルを見たい方にはぴったりのタイミングです。
3. ホタルを見る方法と料金
椿山荘のホタルは、ホテルの庭園内で観賞します。庭園に入るには、ホテルの施設(レストランや宿泊など)を利用するか、施設を利用しない場合は専用サイトで庭園入場券を事前に購入する必要があります。夜のホタル観賞をいちばん楽しみやすいのは、お食事とセットになった次のプランです。
「ほたるの夕べ ディナービュッフェ」
和・洋・中の料理が並ぶビュッフェを楽しんだあと、庭園でホタルと「東京雲海」を観賞できる、椿山荘の初夏の定番プランです。2026年の料金は、大人が月〜木14,200円・金〜日16,300円、小学生6,700円、3歳からの幼児4,100円(いずれも税・サービス料込み)。開催時間は18:00〜20:00/18:30〜20:30/19:00〜21:00など日によって異なり、受付は食事時間の30分前から始まります。
このほか、シャンパンが飲み放題になる特別企画「シャンパンナイトビュッフェ〜Firefly fantasy〜」が6月13日(土)の一夜限りで開催され、料金は大人17,800円。ホタル観賞の前後をゆっくり過ごせる宿泊プランや、夕食を部屋でとるプランなども用意されています。
ホタルそのものは無料の公園などでも見られますが(後述)、椿山荘の魅力は「都心の庭園で、食事やホテルステイとあわせて贅沢にホタルを楽しむ」体験にあります。庭園入場券だけで観賞したい場合の料金や当日の空き状況は変わることがあるため、公式サイトや予約担当に確認すると確実です。
4. アクセス
ホテル椿山荘東京は、東京都文京区関口2-10-8。最寄り駅は東京メトロ有楽町線「江戸川橋」駅で、1a出口から徒歩約10分です。
JR山手線「目白」駅からは、駅前から出る都営バス(新宿駅西口行きなど)で「ホテル椿山荘東京前」下車、徒歩約2分。土・日・祝にはJR「池袋」駅から無料シャトルバスも運行しています(運行日・時刻は公式サイトでご確認ください)。
文京区コミュニティバス「B-ぐる」でもアクセスできます。
5. 観賞のマナーと服装のヒント
ホタルは、とてもデリケートな生きものです。気持ちよく観賞するために、いくつかのマナーを守りましょう。
まず、ホタルは捕まえたり触れたりせず、見るだけにとどめます。スマートフォンのライトや懐中電灯、フラッシュ撮影などの強い光は、ホタルに負担をかけ、ほかの人の観賞も妨げてしまうので避けましょう。大きな声や物音にも気をつけ、静かに楽しむのがマナーです。
服装は、虫対策として長袖・長ズボンがおすすめ。虫よけスプレーや蚊取り線香はホタルに影響することがあるため、肌の露出を控えるかたちで対策をすると安心です。夜は気温が下がることもあるので、さっと羽織れるものを一枚持っておくとよいでしょう。庭園内は足元が暗くなるため、歩きやすい靴で出かけてください。
都心の蛍をもっと楽しむなら
椿山荘は「特別な一夜」としてのホタル観賞ですが、東京には入場無料で楽しめるホタルのスポットもあります。おとめ山公園(新宿区)など、椿山荘の近隣エリアで自然に近いかたちでホタルを見られる場所は、別記事「東京で蛍(ほたる)を観る5つの場所」で紹介しています。
あわせて、初夏の東京はあじさいも見頃。ホタルの余韻を楽しみながら、翌日はあじさい散策——という初夏らしい旅もおすすめです。
いま読まれている記事
▶ 都心で味わう、初夏の魔法—東京で蛍(ほたる)を観る5つの場所【2026年版】
