夏の入り口、東京の下町で朝顔の鉢がずらりと並ぶ三日間があります。台東区の入谷で開かれる「入谷朝顔まつり」、通称・朝顔市です。2026年は7月6日(月)から8日(水)まで。早朝から夜の縁日まで、青や紫の朝顔を眺めながら歩くだけで、東京の夏が少し近づいて感じられます。観光地のにぎやかさとは違う、地元に根づいた季節の風景を探している人にちょうどいい場所です。
入谷朝顔まつりとは

入谷朝顔まつりは、入谷鬼子母神(真源寺)を中心に、言問通り沿いで開かれる朝顔の市です。2026年で第79回を迎えます。会場には朝顔を売る業者がおよそ30軒、たこ焼きやかき氷といった縁日の露店が100軒近く並び、毎年およそ10万人が訪れます。
朝顔そのものは奈良時代に中国から日本へ伝わりました。最初は観賞用ではなく、種を薬として使う植物だったそうです。観賞用として育てられるようになったのは江戸時代に入ってから。入谷で朝顔の栽培が盛んになったのは江戸末期の文化・文政のころで、明治のなかばには全国に知られる名所になりました。
一度は途絶えた時期もあります。大正のはじめに最後の植木屋が店をたたみ、入谷から朝顔が消えました。いまの朝顔まつりは戦後の昭和23年に復活したもので、地元の人たちが下町の夏の風物詩を絶やさずに守ってきた結果です。
開催が7月初めなのにも理由があります。朝顔は「牽牛花(けんぎゅうか)」とも呼ばれ、七夕の織姫と彦星(牽牛)の伝説に結びついています。そのため七夕をはさんだ三日間に開かれるのが習わしになっています。
会場の入谷鬼子母神は、子どもを守る神様・鬼子母神を祀るお寺です。「恐れ入谷の鬼子母神」という言葉遊びでも知られ、江戸三大鬼子母神のひとつに数えられてきました。朝顔を買いに行くついでに、静かな境内をのぞいてみるのもおすすめです。
2026年の開催情報
名称 | 第79回 入谷朝顔まつり(朝顔市) |
日程 | 2026年7月6日(月)〜8日(水)の3日間 |
会場 | 入谷鬼子母神(真源寺)周辺・言問通り沿い(東京都台東区下谷・入谷) |
入場 | 無料(朝顔の鉢を買う場合のみ有料) |
雨天決行(荒天の場合は中止になることがあります)
露店の多くは早朝5時ごろから夜9時ごろまで営業しています。朝顔市というだけあって、花がいちばんきれいに開いているのは朝です。涼しいうちに朝顔を見て回り、夕方からは縁日のにぎわいを楽しむ、というのがこのお祭りらしい一日です。
開催にあわせて言問通りは歩行者天国になり、周辺では交通規制が敷かれます。規制の時間帯は年によって変わるため、出かける前に公式サイトで最新の情報を確認してください。会場周辺に駐輪場はなく、ドローンの使用も禁止されています。電車で行くのがいちばん確実です。
真源寺の隣にある「さかもと朝顔広場」では、同じ期間に「ふるさと交流物産展」も開かれます。各地の特産品が並ぶので、朝顔を見たあとに立ち寄ってみてください。
会場へのアクセス
東京メトロ日比谷線「入谷駅」1番・2番出口から徒歩約1分
JR山手線・京浜東北線「鶯谷駅」南口から徒歩約3〜5分
駅を出るとすぐに会場の通りに着くので、初めてでも迷いにくい場所です。上野からは日比谷線でひと駅。浅草や上野とあわせて回るのにも便利な立地です。
朝顔の楽しみ方
会場の主役は、もちろん朝顔の鉢です。
青、紫、赤、白に、花びらの縁取りが入ったものまで、色も形もさまざまです。行灯(あんどん)仕立てといって、つるを丸い枠に這わせた昔ながらの仕立てが並ぶ様子は、写真に撮りたくなります。
生きた植物を日本国外へ持ち帰るのは検疫の制限があって難しいので、海外からの旅行者は鉢を買うより、その場で眺めて楽しむのがおすすめです。日本に住む知人への手土産にしたり、滞在先に飾る一鉢を選んだりするなら、気に入った鉢の育て方をお店の人に聞いてみてください。水やりのコツや日当たりを、その場で教えてくれます。値段は会場や年によって変わりますが、値札は出ているので、見て回るだけでも十分に楽しめます。
朝顔の鉢のあいだを抜ければ、焼きそばやあんず飴といった縁日の露店も並びます。下町の夏祭りの空気そのものを味わえます。
旅行者に向けて
朝顔を楽しむなら早朝、縁日のにぎわいなら夕方以降です。目的にあわせて時間を選べます。
露店は現金のみのことが多いので、小銭を用意しておくと安心です。入谷駅・鶯谷駅の周辺にはコンビニのATMがあるので、足りなければ着いてから引き出せます。
雨でも開催されますが、足元が濡れるので歩きやすい靴がおすすめです。
7月の東京は蒸し暑くなります。帽子や飲み物、汗ふきを忘れずに。
浴衣で出かけると、夏祭りの雰囲気がいっそう楽しめます。
あわせて回りたい
朝顔まつりの翌日からは、近くの浅草寺で「四万六千日・ほおずき市」が始まります。2026年は7月9日(木)・10日(金)の開催。朝顔市とほおずき市をはしごすれば、東京の夏の二大縁日を続けて楽しめます。
下町の夏をもっと味わいたい人は、浅草の七夕祭りや浴衣の着こなしの記事も参考になります。涼しい朝の朝顔から、夜のお祭りまで、東京の七月は見どころが続きます。
