
9月も後半に入ると、和菓子店やスーパーの店先で、同じ和菓子をよく見かけるようになります。やわらかいもち米を、つやのある小豆あんで包んだ「おはぎ」です。おはぎの季節は、秋の静かな祝日である秋分の日と結びついています。
2026年は日どりが少し特別です。秋分の日は秋の連休を締めくくる日にあたり、その前後の一週間は、家族がお墓参りをし、仏壇を整え、ご先祖様をしのんでおはぎをいただく時期でもあります。この記事では、おはぎとは何か、2026年の日どり、そして旅行中でもおはぎを購入できる場所をまとめます。
2026年の秋分の日は9月23日(水)。9月21日(月・敬老の日)、22日(火・国民の休日)、23日(水・秋分の日)と祝日が続き、前の土日と合わせると、土日が休みの人は9月19日(土)から23日(水)まで最大5連休になります。
同じ秋の行事として、十五夜・お月見2026の楽しみ方もまとめています。
2026年の秋分の日と秋の連休

秋分の日は日本の国民の祝日で、2026年は9月23日(水)です。太陽が黄経180度の秋分点を通過する瞬間そのものは、国立天文台によると9月23日の午前9時05分です。
この祝日は、法律で月日が固定されていません。日本では単に「秋分日」と定めており、国立天文台が正確な日付を計算し、政府が前年の2月に公表します。そのため、秋分の日は年によって9月22日か23日のいずれかになります。
2026年が目を引くのは、前後に祝日がそろうことです。9月21日(月)が敬老の日、23日(水)が秋分の日で、あいだにはさまれた22日(火)は、祝日法によって休日になります。いわゆる「国民の休日」です。
こうして月・火・水の3日間が休みになります。土日が休みの人であれば、前の土曜(19日)・日曜(20日)とつながって5連休となり、9月のこうした連休は「シルバーウィーク」と呼ばれることもあります。この時期に旅行するなら、多くの人が同時に休むため、新幹線や主要な観光地は早めに予約しておくと安心です。
お彼岸とは(秋分の日をはさむ七日間)

秋分の日は、「お彼岸」と呼ばれる、より長い期間の中日(ちゅうにち)にあたります。お彼岸は、秋分の日をはさんで前後3日ずつの計7日間です。2026年は9月20日(日)から26日(土)までにあたります。
この7日間は、ご先祖様を供養する伝統的な期間で、祝日の連休とは別のものです。お彼岸には家族が故郷に戻り、お墓を掃除し、花やお供え物を供えます。
仏教に由来する習わしですが、インドや中国には見られない、日本独自のものだといわれます。お彼岸は春分の日をはさむ春にもあり、年に2回めぐってきます。
おはぎとぼたもち、名前が違う同じ和菓子

おはぎは、軽くつぶしたもち米を小さく丸め、甘い小豆あんで包んだ和菓子です。ややこしいことに、まったく同じ和菓子が「ぼたもち」とも呼ばれます。呼び分けに迷う人も少なくありません。
いちばん広く知られているのは、季節と花にちなむ説明です。春は牡丹(ぼたん)にちなんで「ぼたもち(牡丹餅)」、秋は萩(はぎ)にちなんで「おはぎ(お萩)」と呼び分けます。
ほかにも説があります。ぼたもちはなめらかなこしあん、おはぎは粒を残したつぶあんとする説や、大きさ・形、米の配合の違いを挙げる説などです。
農林水産省も、こうした複数の説を紹介したうえで、今では呼び名を区別していないと記しています。そのため、多くのお店では通年「おはぎ」として並んでいます。
豆知識として、地域によっては四季すべてに言葉遊びを広げ、夏を「夜船(よふね)」、冬を「北窓(きたまど)」と呼ぶこともあります。ただし、これらは公式なものではなく、言い伝えの類です。
お彼岸におはぎを供える理由(諸説)
はっきり一つに定まった理由があるわけではありませんが、昔からよく語られてきた言い伝えがあります。いずれも確かな史実というより、そう言われている、と受け止めるのがよさそうです。
一つは、色にまつわる話です。小豆の赤い色は、古くから邪気を払い、災いから身を守るとされてきました。その赤いあんの菓子は、亡くなった方を守り、しのぶお供えにふさわしいと考えられたようです。
もう一つは、砂糖にまつわる話です。この習わしが根づいた時代、砂糖は貴重品でした。その砂糖を使った菓子を供えることは、ご先祖様へ感謝を伝える手立てだったといわれます。おはぎやぼたもちをお彼岸に食べる習慣が定着したのは、江戸時代とされています。
どの説をとるにせよ、実際にすることは素朴です。仏壇におはぎを供え、家族で分け合い、ときにはご近所へお裾分けをする。そうやって受け継がれてきた習わしです。
おはぎを購入できる場所
旅行者にとってうれしいのは、おはぎが見つけやすく、予約もいらないことです。街の和菓子店はもちろん、スーパーの菓子売り場、デパ地下、コンビニでも売られています。通年で並びますが、お彼岸の時期は品ぞろえがぐっと増えます。
買う前に知っておくとよいことを、いくつか挙げます。
- 味は、定番の小豆あんだけではありません。粒あん・こしあんのほか、きな粉、黒ごま、青のり、そして枝豆をすりつぶした緑色の「ずんだ」(東北地方などでなじみ深いもの)などがあります。
- おはぎは生菓子で、日持ちしません。買ったその日に、遅くとも翌日までに食べるつもりでいてください。
- 値段はお店によって幅があり、決まった相場はありません。和菓子店で一つずつ手作りされたものと、スーパーで数個入りのパックとは、別のものと考えるとよいでしょう。
コンビニ各社も、この時期にはおはぎを並べるのが例年の流れです。ただし、2026年の具体的な商品や価格は、この記事の執筆時点では発表されていません。気になる場合は、店頭の冷蔵ケースをのぞいてみてください。
季節を味わう手軽な一品
秋分の日を味わうのに、お寺やお墓を訪ねることも、特別な準備もいりません。スーパーや小さな和菓子店でおはぎを一つ買い、小豆あんの、甘いけれどしつこくない味わいを確かめてみてください。それだけで、日本の家庭が何百年も続けてきた習わしを、少しだけ分けてもらったことになります。
9月の長い連休に日本にいるなら、おはぎは、その季節を手軽に味わう一品になります。
