大晦日は一年の最後の夜です。年越しそばを食べ、除夜の鐘を聞いて年を越す人が多く、そのまま二年参りや初詣へ向かう人もいます。
この記事では、大晦日の夜の過ごし方を、寺や鉄道会社の案内をもとにまとめました。とくにわかりにくい「鐘は自分でつくのか、見るだけなのか」「整理券は何時からか」「終電のあとも帰る手段があるのか」を、寺ごと・鉄道会社ごとに整理します。
年明けの初詣をいつ・どう参拝するかは、初詣の混雑を避ける時間と参拝作法にまとめています。
鐘を自分でつきたい場合、寺は「券が要る」「整理券が要る」「申込不要」「参拝者はつかない」の4タイプに分かれます。行き先を決める前に下の表で見比べてください。
除夜の鐘とは

除夜の鐘は、大晦日の夜から元日にかけて寺の梵鐘を108回つく行事です。108回つくのは、人の煩悩の数にちなむという説が広く知られています。ほかにも諸説があり、菩薩が備えた108の徳を讃えるためという説明もあります。
鐘をつく時間は寺によって異なります。多くの寺は、年をまたぐ午前0時前後に鐘をつきます。一方で築地本願寺のように、早い時間に始めて深夜0時より前に終える寺もあります。0時ちょうどに聞きたいか、早い時間に聞きたいかで、選ぶ寺が決まります。
鐘を自分でつく寺・つかない寺
同じ「除夜の鐘」でも、参拝者が実際につく寺と、僧侶や関係者だけがつく寺があります。東京近郊と京都のおもな寺を表にまとめました。運用は年によって変わるため、今年の案内は各寺のサイトで確認してください。
寺(所在) | 参拝者がつくか | 受付・券 | 鐘の時間 | 料金 |
|---|---|---|---|---|
増上寺(東京・芝) | つく(4人1組) | 鐘撞き券(例年12月1日9時〜寺務所) | 0時〜 | 冥加料2,000円 |
池上本門寺(東京・大田) | つく(6人1組) | 整理券(23時〜鐘楼堂前・先着600名) | 0時〜 | 無料 |
築地本願寺(東京・中央) | つく(申込不要) | 受付なし(年により変更あり) | 21時〜23時(0時前に終了) | 無料 |
浅草寺(東京・浅草) | つかない(百八会が担当) | ― | 0時〜約40分 | ― |
知恩院(京都・東山) | つかない(僧侶がつく) | 間近での参拝は事前申込制 | 22時40分頃〜 | 参拝3,000円(当日申込不可) |
川崎大師(神奈川) | 要問い合わせ(記載なし) | ― | 深夜の法楽ののち | ― |
成田山新勝寺(千葉) | 要問い合わせ(記載なし) | ― | ― | ― |
増上寺では、元日0時の御法主の一番鐘を合図に、4人1組の参拝者が順に鐘をつき、合わせて108回になります。浅草寺では弁天山の鐘を「百八会」の会員がつくため、参拝者は境内で見学します。
京都の知恩院では、17人の僧侶が親綱と子綱で心を合わせて鐘をつきます。寺の案内にも「鐘を撞くことはできません。見学のみです」と明記されています。
重さ約70トンの大鐘をつき始めるのは22時40分頃です。鐘の間近で参拝するには事前の申込が必要です。申込も料金も要らないのは、12月27日の試し撞き(14時頃から)か、大晦日当日のYouTubeライブ配信です。
神奈川の川崎大師(平間寺)も、大晦日の鐘楼堂での法楽ののち、除夜の鐘を108回ついて新年を迎えます。つき手が一般の参拝者か僧侶かは寺のサイトに記載がないため、参加したい場合は直接問い合わせてください。
千葉の成田山新勝寺は、元日0時に元朝大護摩供を行います。参拝者が除夜の鐘をつくかどうかは案内が見あたらないため、鐘つきを目当てにする場合は、ほかの寺を選ぶほうが無難です。
整理券・券のとり方
参拝者がつく寺の受付は、大きく分けて2通りです。当日に先着で配る整理券と、前もって頒布する券です(知恩院は鐘をつかず、間近での参拝を事前申込で受け付けています)。
- 池上本門寺(東京・大田):整理券は一人一枚までで、呼ばれたときにその場にいないと無効になります。受け取ったあとは、鐘楼堂の前を離れずに待ちましょう。
- 増上寺(東京・芝):当日の配布ではなく、前もって寺務所で鐘撞き券を頒布します。券は記念品付きで、数に限りがあります。頒布が始まったら、早めに寺務所へ足を運ぶのが確実です。
- 知恩院(京都・東山):除夜の鐘参拝の受付は例年12月1日の14時から始まります。各班500名・小学生以下無料の先着制で、当日の申込はできません。
築地本願寺は、申込も券も要りません(ただし鐘つきは21時〜23時で、年はまたぎません)。過去には事前応募や抽選だった年もあります。
終夜運転と帰りの足

大晦日には、終電のあとも電車を走らせる「終夜運転」を行う路線があります。実施するかどうかは鉄道会社ごとに異なり、同じ会社でも年によって変わります。
前回、2025年から2026年にかけての年越しでは、JR東日本が首都圏の6路線(山手線、京浜東北・根岸線、中央・総武線各駅停車、中央線快速、横須賀線、総武本線・成田線)で終夜運転を実施しました。都営地下鉄は終夜運転を行わず、土曜・休日ダイヤでの運転でした。
上の表の東京の寺のうち、JRの終夜運転路線の駅から徒歩圏内にあるのは増上寺だけです(JR浜松町=山手線・京浜東北線から徒歩約10分)。
浅草寺・築地本願寺・池上本門寺は、最寄りが地下鉄や私鉄(東京メトロ・都営地下鉄・東急)です。都営地下鉄は前回の年越しに終夜運転を行わなかったため、この3寺では、終電後にタクシーや徒歩で帰ることも想定しておきましょう。
次の年越し(2026年12月31日から2027年元日)のダイヤは、例年秋以降に各社が順次発表します。出かける前に、利用する路線の公式サイトで終夜運転の有無と時刻を必ず確認してください。
年越しそばと二年参り

農林水産省によると、大晦日にそばを食べる習慣は江戸時代から庶民のあいだに広まったとされています。由来は一つではなく、細く長い形から延命長寿を願う説、切れやすいことから一年の苦労や災厄を断ち切る説などがあります。
食べる時期は地域によって異なります。会津地方には元旦にそばを食べる風習があり、新潟県には1月14日に食べる「十四日そば」という習わしが残っています。大晦日のうちに食べる家庭が多いものの、いつ食べるかに決まりはありません。
大晦日の夜から元日にかけて神社や寺にお参りすることを、二年参りと呼ぶ地域もあります。古くは大晦日に氏神様の社にこもる「年ごもり」の風習があり、やがて除夜の参拝と元日の参拝に分かれ、元日の参拝が今の初詣の原型になったといわれています。元日の参拝先や空いている時間については、初詣の混雑を避ける時間と参拝作法も参考にしてください。
なお、大晦日の深夜から三が日は、多くの店や施設が休業します。コンビニや一部の飲食店のほかは開いている店が限られるため、食事や買い物の予定は前もって調べておきましょう(年末年始に開いている店の調べ方)。
深夜の参拝に向けた持ち物・服装
除夜の鐘や二年参りに出かけるのは、冬のなかでも冷え込みの厳しい深夜です。気象庁の平年値では、東京の日最低気温は12月で3.8度、1月で1.2度です。日付が変わる深夜から未明にかけては、気温がこの値の前後か、それより低くなります。
寺社の境内は風を遮るものが少なく、整理券を待つあいだは立ちっぱなしになります。外で長く待つことを考えて、厚手のコートに加え、手袋・マフラー・カイロなどの防寒を用意しておきましょう。